ルポタージュ、技能実習生制度について。

最近なにかと話題になる技能実習生制度。技能実習という在留資格が設置されてから、早7年が経とうとしています。もはや日本の社会は外国人である彼らなしでは回らなくなりつつあります。つい先日、コンビニ業界が技能実習生制度を導入すると話題になっていました。また来年5月には、インドからの技能実習生の受け入れをスタートします。

 

労働力不足の実態を鑑みて、これからも増加の一途を辿ると見込まれる技能実習生ですが、日本の社会は、どのように対応していくのでしょうか。

 

わたしは、無理を承知で頼み込み、技能実習生のみを受け入れる日本語学校で、日本語教師として働かせていただいています。そこでは現在、10代後半から30代後半まで、30人ほどが日本語を学んでいます。

 

卒業生の中に、生まれつき耳が聞こえない子どもを本国に残してきた若い母親がいます。このままだと、子どもは言葉を話せなくなってしまうので、補聴器を買わなければならないと、医師に言われました。でも彼女の家庭は非常に貧しいので、子どもに補聴器を買うためだけに、一大決心をして技能実習生になったそうです。

 

穿った見方をすると、まるで「お涙頂戴」と批判されそうな話です。

 

ただ、心で理解してほしいのです。技能実習生は、「ボーナスも退職金もいらない安価な労働力」ではないのです。ちゃんと、体温を持った人間です。人生のストーリーを抱えて、日本に来ています。この記事に目を通してくださっている一人一人の方に、優しく受け止めていただきたいのです。

 

人々の心に根強く残る「外国人はコワイ、アブナイ」という偏見を取り除けるとは思いません。技能実習を終えてからも、不法滞在者として外国人が多く日本にいる現実も、目を背けてはならないものです。でも、「日本人は優しいと思う」「日本人は温かい心がある」と、期待に胸を膨らませる実習生たちを、どんな三年間が待ち受けているのか考えると、時々とてもやりきれない気持ちになります。

 

日本人に油をかけられて火をつけられる。怪我をしても救急車を呼んでもらえない。日々食べるものにも事欠き、ついに万引きをして、本国に強制送還される実習生もいたそうです。もちろん、皆が皆、このような状況に置かれているわけではありません。ですが、家族のために外国へ働きに来る人々です。日本の底辺を支える人々です。外国人労働者の権利云々の前に、彼らを絶望の挙句、悪へと走らせる日本のいわゆる「成熟」社会は何か大切なものを見落としてはいないでしょうか。

 

近所に、職場に、技能実習生、または外国人労働者がいるという方。友達になってほしいとはいいません。どうか、温かく見守ってあげてください。何か不快な思いをすることがあれば、陰口を叩かずに直接、伝えてあげてください。彼らは、事前に日本語を学んできていますから、ある程度理解できますし、改めようと必ず努力するはずです。

 

我々日本語教師にできるのは、実習生たちが払ったお金の数倍は価値があったと感じられる質の高い授業を、精魂込めてすることです。綺麗事だけでは一国の経済は成り立たないのはわかっています。ですが、もし、彼らの声にならないSOS を身近で感じたら、どうか、無視しないでください。臭いものに蓋をし続けていれば、いつか私たちは計り知れない代償を求められます。

 

日本の根底を支える技能実習生たちが、どうかこれから、日本を好きになれますように。心に優しい火を灯したまま、帰国できますように。そう、願ってやまない2017年、年の瀬であります。

 

(ベンガル語科・2年生)